僕がナムコに入社して新人時代から長年言われているジンクスがありました。


90年代当時、ナムコの新入社員だった頃、僕の部署では(金額にもよりますが)企画書レベルで課長のGOサインが出ると技術研究という名で試作品を作って「面白さ」の検証をすることが出来ました。

家庭用部署も技術研究から始まっていたと思います。

そして、上司達から「面白い!」「売れる!」と評価されると予算をとって製品化へと進むのですが、
上司、社員一同が皆「これは売れる!」と思われたゲームは、「予想に反して売れない」。

だから逆に社内の評価が良すぎると怖くなるのです。


それに反して、試作品を少人数で細々と作り、上司や同僚にも期待されずに作ったゲームが、意外と大ヒットを飛ばしたりするのでした。


その多くは、試作途中で会社に潰されそうになった企画です。

例えば今や誰もが知っている「太鼓の達人」。

一つのプロジェクトが終わると次のプロジェクトまで隙間期間が出来るエンジニアが出たりするものですが、
そんな彼らが4、5人で細々と技術研究として作っていたのが、「太鼓の達人」だったと聞いています。

当時は、コナミの「ビートマニア」から始まった音ゲーブームが続いていましたが、それもオシャレでクールな音ゲーばかりで、ユーザーも「音ゲー上手い俺、イケてる」という自己満足を得られるものでした。


そんな中での「太鼓」です。


「ゲーセンで誰が太鼓なんか叩くんだ。恥ずかしいだろ、バカか」

当時はそれぐらいの社内の評価だったのではないでしょうか。


社内で潰されそうになった企画でしたが、ロケテストを試みることにしたのです。

ロケテストとは、ゲーセン一店舗に土日限定で試作品を置いて、売上を見て製品化に進むか判断するテストのことです。

1日1万切ると製品化は難しくなります。

しかし、ここで「太鼓の達人」は、予想を超える売上を出したのでした。

売上だけでなく、みんなが楽しんでいる。

そうなると社内の評価も変わる。

後になって「俺もイケると思っていたんだよね」という輩は必ず現れるものです。

そして製品化が進み、今日15年以上も稼働を続ける大ヒットゲームが生まれたのでした。


中の人間は、一般のユーザーの感覚を忘れがちです。

そして、新しいものに対しては、「わからないけど、やってみる?」ではなく、何らかの理由を付けて「やめとこう」となりがちです。

そんな風潮の中で消えた名企画も多々あるかもしれません。


これまでに同じタイプのないゲームだからこそ、一般人にウケた時の爆発力はすごいものです。

もし、上司や社員の経験則から生まれた高評価であれば、それはユーザーにとっても想定内のものであり、面白くてもユーザーへの衝撃はないでしょう。

これまでゲームに長年関わってきた社員達も判断に困るものだから、ユーザーにインパクトを与えられる企画になるのだと思います。


※「評価されなかったゲーム達」第二回は、途中で下ネタブログを挟みつつ、来週あたりに書こうと思います。