前回、これまでになかった新しい企画は、社内で評価されずに潰されることがよくあるものだと書きましたが、
それも結局は上の人間のセンス次第なところによります。

社内で評価が悪くてもトップがその面白さを見抜いていれば、もしくはその可能性を試す力量があれば、潰れる企画も世の中に出るものです。

逆にそんな天才上司がいない中で、斬新な企画を作ろうとするクリエイターは、「諦めモード」にならざるを得ません。


しかし、それは多くの場合、企画書による紙レベルで判断されることであり、こっそり作ってしまえば「意外と面白いじゃん!」となるものです。

今回は、「試作では評価された」けど、構想段階では誰からも見向きもされなかった企画「塊魂」の話です。


元ナムコの高橋ディレクターが「塊魂」を考案した時、その斬新な企画に誰もピンと来ませんでした。

そこで試作を作ることにしたのです。


僕が初めて社内で「塊魂」の試作を見たのは、ナムコの新入社員が研修で作ったゲームの発表会でした。

そこで極めて目立っていたのが「塊魂」で、社員の反響も上々でした。

「これ、新人が作ったのか。すげーなあ」と思っていたのですが、後で知ったのは、
社内に試作を作るメンバーがほとんどいない中で、高橋ディレクターがナムコと繋がりのあったCGの専門学校生に手伝ってもらって、試作を作り上げていたのでした。


社内の評判は良かったのですが、新人研修で見てから1年経っても塊魂は製品化されませんでした。

一向に「塊魂」が発売されないので潰されたのかと思っていましたが、
実は製品化は着々と進められていて、初めて見た時から2、3年後に発売されたように思います。


高橋ディレクターはある講演で、開発はスムーズに進まず、『転がすだけでいいのか』『もっとゲーム性を入れないのか』などの声があったそうですが、「積極的に聞き流した(笑)」と答えています。


「塊魂」は社内で注目されてしまいましたが、本来斬新なゲームは、誰にも注目されない中でこっそり試作を作れた方が、途中で余計な意見も入らず、思ったものが作れるのかもしれません。

他人の経験則で出てきた意見を取り入れていると、その斬新的なトンガリも均されてしまうからです。


ちなみに初期のアーケード版「アイドルマスター」もリリース間近で没になる可能性がありました。

営業からの「こんなの売れない」という声が出たからです。

それを「出してみなよ」と鶴の一声を放ったのが、現バンダイナムコエンターテインメント石川会長でした。

アーケード版「アイドルマスター」や家庭用ゲームは、それほど売上は振るわなかったものの、このシリーズを横展開させ、終わらせなかったことでキャラは育っていき、
今やソシャゲとしてバンダイナムコエンターテインメントの一番の稼ぎ頭となっています。

あの時石川会長は、目先の売上ではなく、その先の可能性を見いだしていたのかもしれません。

※元ナムコメンバーの開発裏話募集中




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