高校時代にいつか彼女が出来た時のためにとクリスマスソングのカセットテープを一人悶々と作っていた。
それぐらいクリスマスが重要だったのがバブル期の日本だった。

それから3年後、まだ付き合って2回しか会っていない彼女とクリスマスのドライブが実現した時の帰り道だった。

クリスマスソングだけのカセットテープを流しながら、「クリスマスキャロルってなんだよ」と今更稲垣潤一に心の中で疑問に思いつつ車を走らせていた。

霧に包まれた夜の山道だった。
車のライトが白い空気を照らす。
フロントガラスに白く照らされた空間。

クリスマスキャロルが流れる頃には、きっと君と僕の答えもきっと出ているのだろうか。
何かと前が見えないが、その夜は物理的にも前が見えなかった。

霧で見えない道中で、アドレナリンの量と車の速度が上がってることに気付いた瞬間、道がカーブになっていた。
その先が田んぼだった。
慌ててブレーキをかけた。
前輪が出たところで車が止まった。
カースタントのように飛び込まなくて良かったのだが、前輪が出た僕の車はバック出来ない。
彼女は驚いていた。
彼女との関係も戻せないかも!

幸い近くに家があり「すみません!」と助けを求めてご近所の人達に押してもらった。
約10分後に車が走れる体制になった。

助けてもらった方達にお礼を言って車を走り出したが、「結局クリスマスキャロルってどんな歌だよ!」と稲垣潤一にツッコんだ。

そんなクリスマスの思い出。